子は親を見上げるが故に飛行機を空に見つける


今や3.7歳となった長男は、2歳のころよく空に飛行機を見つけていた。
都内もかなり空の高いところを飛行機が通り過ぎることがあるのだ。
親はいつもびっくりしていた。

ところが彼は最近、飛行機を指ささなくなった。
興味がなくなったわけではなく、乗り物図鑑などではJALが好きかANAが好きか真剣に見入っているというのに。

下の娘は1.6歳というところだが、よく空に飛行機をみつけて指を指す。
「いおーい」(ひこうき)と指さすのだが、それをみて長男は本当だ、という顔をする。

ある日、ふたりの差に気がついた。それは身長のちょっとした差だ。

娘の身長では、常に親を見上げている視線になる。そしてその背後には常に青空がある。
長男の身長では、もはや真上は見上げない。せいぜい斜め上といったところで、むしろ視界には植物や自販機が入ってくる。

ということは、娘が青空にちっぽけな飛行機を見つけて喜ぶのもあと一年もないのだろう。
たった10センチ身長が伸びただけで、彼女の視界はがらりと変わるのである。